技術が結集された2種類の革のパッチワークアイテムーDIFFUSER「PATCHWORK LEATHER EYEWEAR CASE / SOMÈS SADDLE」
眼鏡を持ち歩くためのケースに、どれほどの技術が宿っているか。意識してアイテムを選ぶ人は多くはないかもしれない。

DIFFUSER Tokyo(ディフューザートウキョウ)が新たに提案する「PATCHWORK LEATHER EYEWEAR CASE / SOMÈS SADDLE」と
「PATCHWORK LEATHER INNER POCKET EYEWEAR CASE / SOMÈS SADDLE」は、日本最高峰の革職人たちとの協業から生まれた、ハンドメイドによるアイウェアケースだ。
小さなケースのなかに、革の美しさと、職人の矜持が詰まったシリーズだ。
顔つきの異なる3種類の革
素材には、3種類の牛革が用いられている。つるりとした質感をもつ黒いレザーとグレーのレザー、凹凸が手に心地よいシボ革だ。三者三様の風合いをもつ革が、ひとつのケースのなかに収まっている。

革はそれぞれ、個性が異なる。染色の深み、光の受け方、指先に伝わる感触。同じ牛革でも、なめし方や仕上げによって、その顔つきはがらりと変わる。
レザーのつやめきと、シボ革の落ち着いた陰影。それらを一枚の面に並べることで、単色では生まれない表情が生まれている。
革の老舗ソメスサドルとの協業

このケースを手がけたのは、ソメスサドル。これまでにも、DIFFUSERと協業しアイテムを生み出してきたメーカーだ。
1964年創業、北海道砂川市に本拠を置くレザーファクトリーだ。日本で唯一、馬具の製造を行うメーカーとして知られ、乗馬用・競走馬用の馬具をつくるにとどまらず、宮内庁からの発注も承っている。
国内競走馬の7割がソメスサドルの馬具を使用しているという事実が、その技術水準を物語っている。
革工芸の世界では、高い品質を保ち続けることそのものが、技術の証明になる。ソメスサドルが長年にわたって質を維持できる背景には、社内の職人育成制度がある。
70〜80人の職人を新人と熟練者が混在する4、5人のグループに編成し、技術を次の世代へと丁寧につないでいく。機械に頼らず、手の記憶で伝えていく。そうした積み重ねの上に、このケースは成り立っている。
革でパッチワークアイテムを作る技術
パッチワークという手法は、見慣れたデザインに感じるかもしれない。だが、革のパッチワークは、布のそれとはまるで異なる難しさをはらんでいる。

まず、複数の革を縫い合わせ、ひとつのアイテムとして仕上げる工程では、革の断面を整えながら平らに展開した状態で接合する。
ここで一ミリでもずれが生じると、パターンが崩れ、縫い目が波打ち、表面にわずかな凸凹が生まれてしまう。精密さを欠いたパッチワークは、見た目だけでなく、手に触れたときの感触にも狂いが出る。
さらに、ケースとして仕立てる際には、革が重なり合う部分の厚みを調整する「すき」という技法が必要になる。重なった革をそのままにすると、膨らんで形が歪んでしまう。
重ね合わせる箇所だけを薄く削り取ることで、表面を平滑に保ち、革本来の張りを守る。これは経験を積んだ職人だけが扱える繊細な仕事だ。
このケースの原点には、ソメスサドル社に置いてあったパッチワーク仕様のゴミ箱があったという。そこに宿るパターンと、革の組み合わせの可能性に触発され、アイウェアケースへの応用が始まった。
無駄のないスタイリッシュな設計
フラップ式のハードタイプは、コンパクトなサイズに、しっかりとした張りをもつ革がフォルムを保ち、眼鏡を安定して収める。蓋と前面のパーツには黒のレザーが配され、ケース全体の構造を支える要として機能している。

ソフトタイプのインナーポケット仕様は、薄さと軽さを活かし、バッグやジャケットの内側に収まりよくおさまる設計だ。フラップタイプと同じく、3種類の牛革によるパッチワークが施されており、色はブラックの一色展開。

カラーは、どちらも黒を基調とした1色展開。黒とグレーのレザーの落ち着いた光沢、シボ革の引き締まったマットな質感。
3つの革の対比が、モノトーンのなかに奥行きをつくり出している。黒でありながら平板でなく、手元に置くだけで目を引く仕上がりだ。
ケース自体のサイズは小型で、大ぶりのサングラスには対応していないが、どちらもスタイリッシュなたたずまい。また、製品当初は革の張りが強く感じられることがあるが、使い込むほどに手に馴染み、柔らかさが増していく。
革の美しさを活かしたパッチワーク
3種類の牛革が一枚の面に整然と並ぶその様は、パッチワークでありながら、どこかシンプルに映る。それは、雑味を削ぎ落とした職人仕事の賜物だ。

DIFFUSER Tokyoとソメスサドルはこのケースに、革本来の手触りと、眼鏡を守るための機能と、眼を引くパターンを宿らせた。手に取るたびに、三種の革の対比が、指先と視線に美しさを感じさせるだろう。
